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調剤薬局の資金繰りが苦しくなる理由とは?改善策と資金調達の選択肢を解説

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調剤薬局の資金繰りが苦しくなる理由とは?改善策と資金調達の選択肢を解説

調剤薬局は、患者から受け取る自己負担分が1〜3割にとどまり、売上の大半を占める調剤報酬は、国保連や支払基金からの入金までに約2か月ほどの期間がかかります。このため、ほかの業種にはない「帳簿上は黒字でも手元の現金が不足しやすい」構造的な難しさを抱えています。

本記事では、調剤薬局の資金繰りが苦しくなる理由と、悪化を放置した場合のリスク、必要な運転資金の目安(月々の支出の2〜3ヶ月分)、そして資金繰り表の作成をはじめとした改善策やファクタリングなどの資金調達の選択肢まで、まとめて解説します。

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調剤薬局の資金繰りが苦しくなる3つの理由

調剤薬局の資金繰りが苦しくなる背景には、業界特有の入金構造やコスト構造が関係しています。ここでは代表的な3つの理由を見ていきましょう。

  • 入金まで最大2ヶ月のタイムラグ
  • 高額薬の先払い負担と過剰在庫
  • 家賃・人件費などの固定費の重さ

入金まで約2ヶ月のタイムラグ

調剤薬局の収入は、患者が窓口で支払う自己負担分と、国民健康保険団体連合会(国保連)や社会保険診療報酬支払基金(支払基金)へ請求する保険負担分で構成されています。このうち 保険負担分は、入金されるまでに約2ヶ月ほどかかる のが一般的です。

さらに、レセプト(診療報酬明細書)に記載ミスや漏れがあると、支払機関から差し戻される「返戻」が発生し、当初見込んでいた月には入金されず、再請求後の入金にずれ込んでしまうため、入金にはさらに時間を要してしまいます。クレジットカードでの窓口決済を導入している場合も、決済会社からの入金までに半月〜1ヶ月ほどのタイムラグが生じるため、思った以上に現金が手元に入ってくるタイミングは遅くなりがちです。

こうしたタイムラグは、開業したばかりの薬局や、患者数が急に増えた薬局ほど影響を受けやすい傾向があります。売上の見た目が伸びていても、実際に現金として手元に入るのは数ヶ月先になるため、「儲かっているはずなのに現金が足りない」状態に陥りやすいのです。

高額薬の先払い負担と過剰在庫

薬局が仕入れた医薬品は、患者に調剤され、調剤報酬が入金されるまでの間、在庫として保有し続けることになります。たとえば高額医薬品や、使用頻度の低い医薬品を多く抱えていると、それだけ多くの資金が在庫として固定されてしまいます。

在庫は患者に医薬品を安定して供給するために必要なものですが、必要以上に抱え込んでしまうと自由に使える現金が減り、キャッシュフローを圧迫する原因になるため注意しましょう。仕入れのタイミングと入金のタイミングにズレがある以上、在庫の持ち方そのものが資金繰りに直結するのです。

とくに高額医薬品を取り扱う薬局に関しては、手元資金が大きく目減りするケースもあります。取り扱う医薬品の種類によっては、平均的な運転資金の目安だけでは対応しきれないこともあるため、余裕を持った資金計画を立てましょう。

家賃・人件費などの固定費の重さ

資金繰りを圧迫するのは、医薬品の仕入れ代金だけではありません。店舗の賃料や水道光熱費といった固定費も、毎月継続的に発生します。

なかでも大きな負担になりやすいのが、人件費です。薬剤師や事務スタッフの人件費は、毎月固定でかかり、とくに薬剤師の人件費は他業種と比べても高い水準にあります。手元資金に余裕がない状態でボーナス月や昇給のタイミングを迎えると、一気に資金繰りが苦しくなるケースも少なくありません。

また、調剤薬局は病院やクリニックの近くなど、患者にとって利便性の高い立地に構えることが多いため、家賃相場自体が高くなるケースも多いです。売上に占める割合が変えにくい固定費だからこそ、開業時や移転時の立地選びの段階から、無理のない水準に収めておくことが後々の資金繰りの安定につながります。

資金繰りの悪化を放置すると「黒字倒産」に

調剤薬局の倒産件数は、近年増加傾向にあります。薬価改定による収益の目減りや、薬剤師不足による人件費の高騰などが重なり、資金繰りが行き詰まるケースが増えているのが現状です。

帳簿上の利益と、手元にある現金は別ものです。帳簿上で黒字が出ていても、支払いのタイミングで現金が足りなければ、事業は続けられません。これがいわゆる「黒字倒産」です。入金までのタイムラグを抱える調剤薬局は、この状態に陥りやすい業種の一つだといえます。原因を正しく把握し、早めに手を打つことが、経営の安定には欠かせません。


出典:「調剤薬局」の倒産が止まらない、過去最多の38件 大手は統合再編へ、小規模店は倒産が加速 | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ

調剤薬局に必要な運転資金と手元資金の目安

資金繰りを改善するには、まずどれくらいの運転資金が必要なのかを把握しておくことが前提になります。ここでは、運転資金の内訳と、確保しておきたい手元資金の目安を解説します。

  • 調剤薬局に必要な運転資金の内訳
  • 調剤薬局の手元資金の目安は2〜3ヶ月分

調剤薬局に必要な運転資金の内訳

運転資金を試算する際は、家賃・給与・社会保険料・仕入代金・機器のリース料・水道光熱費・通信費・借入返済・広告費・消耗品費・税金・専門家への報酬など、毎月発生する支出を一つひとつ洗い出すことが大切です。

調剤報酬は国が定めているため、薬局側の裁量で売上や利益を大きく増やすことは難しい構造です。だからこそ、支出の見通しを立て、余裕を持った資金計画を組んでおく必要があります。

支出項目を洗い出す際は、毎月ほぼ一定額が発生する固定費(家賃・人件費・リース料など)と、月によって変動する変動費(仕入代金・消耗品費など)を分けて整理すると、どの月にどれくらいの資金が必要になるかが見えやすくなります。とくに仕入代金は、在庫量によって上下しやすいため、注意が必要です。

調剤薬局の手元資金の目安は2〜3ヶ月分

保険負担分の入金には、約2ヶ月ほどのタイムラグがあることを踏まえると、その間の支払いをカバーできるだけの現金を、あらかじめ手元に確保しておく必要があります。

具体的な目安としては、月々の支出の2〜3ヶ月分を手元資金として持っておくのが望ましいです。この水準を下回ると、急な出費や入金の遅れが発生した際に、資金繰りが一気に厳しくなるリスクが高まります。

ただし、この2〜3ヶ月分の資金は、あくまで一般的な目安です。高額薬を扱う機会が多い薬局や、開業して間もなく取引実績が少ない薬局では、より多めの手元資金を確保しておいた方が安心です。逆に複数店舗を運営していて、資金を融通し合える体制がある場合は、目安よりやや少なくても対応できるケースもあります。状況に合わせて、必要な水準を見極めることが大切です。

調剤薬局の資金繰りを改善する具体策

原因と必要な資金の目安がわかったら、次は実際の改善策を考えましょう。ここでは資金繰り改善のために取り組める3つの具体策を紹介します。

  • 資金繰り表の作成
  • 在庫適正化とレセプト請求ミス防止
  • 補助金・助成金の活用

資金繰り表の作成

資金繰り表を作成し、売上や調剤報酬の入金予定日・仕入れの支払日・人件費・家賃・借入の返済・設備投資などを月別に一覧で管理しましょう。

帳簿上の利益だけを見ていても、実際にはどの月にどれだけの現金が必要になるかが見えてきません。黒字であっても、支払額が大きい月には資金が不足する場合もあるため、利益ではなく現金残高ベースで先の見通しを立てることが重要です。

資金繰り表は、エクセルなどの表計算ソフトでも作成できます。入出金予定を月別に並べ、現金残高がマイナスにならないかを確認するところから始めてみましょう。作成・更新の手間はかかりますが、資金がショートしそうな月を事前に把握できれば、早めに対策を打つ余裕が生まれます。

在庫適正化とレセプト請求ミス防止

定期的に棚卸しを行い、動きの少ない不動在庫や使用期限切れの医薬品がないかを把握し、過剰な在庫は適宜削減していきましょう。

あわせて、請求額と実際の入金額に相違がないか、予定どおりに調剤報酬が入金されているかも、定期的に確認しておきたいところです。レセプトの記載ミスや漏れは、返戻の原因となり、入金の遅れにつながります。日々の請求事務を正確に行うことが、結果的に資金繰りの安定につながります。

在庫についても、感覚だけで発注量を決めるのではなく、過去の処方実績をもとに、使用頻度の低い医薬品を洗い出し、発注のタイミングやロットを見直すと効果的です。処方頻度の高い医薬品と低い医薬品を分けて管理するだけでも、無駄な在庫を減らしやすくなります。

補助金・助成金の活用

自治体によっては、支援が受けられる助成金制度を用意している場合があります。代表的なものとしては、小規模事業者持続化補助金やデジタル化・AI導入補助金などが挙げられます。補助金や助成金は、原則として返済が不要なため、運転資金の一部として活用できるものがないか、一度確認してみましょう。

ただし、申請から支給までには一定の時間がかかるケースが多いため、資金が足りなくなってから慌てて探すのではなく、計画的に情報収集をしておくことがポイントです。

利用できる制度を探す際は、自治体の公式サイトや商工会議所・商工会の窓口などで確認しましょう。地域や年度によって募集内容が変わることもあるため、一度確認して終わりにせず、定期的に最新情報をチェックしておくと、思わぬタイミングで活用できる制度に出会える可能性があります。

調剤薬局の資金繰りを助ける資金調達の選択肢

改善策を講じてもなお資金繰りに不安が残る場合は、外部からの資金調達も選択肢に入ってきます。ここでは代表的な2つの方法と、その使い分けを紹介します。

  • 日本政策金融公庫・銀行融資
  • 調剤報酬ファクタリング
  • 融資とファクタリングの使い分け

日本政策金融公庫・銀行融資

融資は一般的な資金調達方法で、日本政策金融公庫や民間金融機関から借り入れる形が代表的です。

融資を受けるには審査があり、申し込みから実行までに一定の期間が必要です。また、当然ながら返済義務があり、金利も発生します。低コストで資金を調達できる一方、すぐに現金化したい場合には不向きな面もあります。

開業して間もない薬局であっても、事業計画をしっかり示せば融資を受けられる可能性はあるため、まずは日頃から取引のある金融機関や、日本政策金融公庫の窓口に相談してみましょう。


出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」

調剤報酬ファクタリング

ファクタリングは、国保連や支払基金に対する売掛金(保険請求権)を専門業者に買い取ってもらうことで、通常より早く現金化する方法です。2ヶ月待たずに資金を確保できるため、入金タイムラグへの対策として活用されています。

銀行融資と異なり負債として計上されない点や、比較的審査基準が低く、原則として担保・保証人が不要な点もメリットです。ただしデメリットとしては、融資の金利と比べるとファクタリングの手数料は高額になりやすい傾向があります。また、ファクタリングは貸金業法の規制対象外であるため、法外な手数料を要求してくる悪質な業者も存在します。

利用を検討する際は、1社の提示条件だけで判断せず、複数の業者から見積もりを取りましょう。手数料水準や契約条件については、契約前の比較をおすすめします。

調剤報酬ファクタリングについて詳しく知りたい方はこちらから


出典:金融庁:ファクタリングに関する注意喚起

融資とファクタリングの使い分け

計画的な設備投資や、長期的な運転資金を確保したい場合は、金利を低く抑えられる融資が向いています。一方、高額薬の先払いや急な資金ショートなど、短期的なつなぎ資金が必要な場面では、ファクタリングが向いています。

判断に迷う場合は、資金繰り表で「いつ・いくら」不足するのかを、具体的に把握して検討するのがおすすめです。「数ヶ月先まで見越した不足であれば融資、来月・再来月といった目前の資金ショートであればファクタリング」のように、不足のタイミングと規模から逆算すると、無理のない資金調達方法を選びやすくなります。

調剤薬局の資金繰り改善の第一歩は「原因の見える化」

調剤薬局の資金繰りが苦しくなる背景には、入金タイムラグ・高額薬や在庫の負担・固定費の重さといった業界特有の構造があります。放置すれば黒字倒産のリスクにもつながりかねないからこそ、まずは資金の流れを資金繰り表などで見える化してみましょう。原因の正しい把握が、改善への第一歩です。

そのうえで、在庫の適正化や請求ミスの防止に取り組み、必要に応じて融資やファクタリングといった資金調達の手段も検討していきましょう。

※掲載内容はすべて記事公開時点のものです。

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