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介護施設経営は儲かるのか|介護事業者倒産172件・過去最多の理由

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介護施設経営は儲かるのか|介護事業者倒産172件・過去最多の理由

利用者は増えているのに、経営は年々苦しくなっている。介護施設の経営者からは、そうした声が聞かれます。実際に、介護事業者の倒産件数は過去最多を更新しました。

需要の増加と経営難が同時に起きる理由は、収入の上限が公定価格で決まる一方、人件費と物価が上がり続けている点にあります。

本記事では、公的統計データ等をもとに、介護施設経営が赤字に陥る構造的な原因と、黒字化に向けて着手すべき施策の優先順位を解説します。 3分で分かる!介護・診療報酬ファクタリングサービスの詳細資料を無料配布中!資料請求はこちら

介護施設経営の現状―介護事業者の倒産は過去最多、収支は厳しい

介護施設の経営環境では、需要増と倒産増が同時に進むという、矛盾した状況となっています。本章では倒産件数と収支差率から、その状況を確認します。

倒産件数は過去最多の172件、前年比40.9%増

2024年の介護事業者の倒産は172件に達し、過去最多を記録しました。東京商工リサーチの調査によると、前年比40.9%増と大きく増えました。

この172件は居宅サービスを含む介護事業者全体の件数で、施設だけに限った数字ではありません。内訳では訪問介護が81件と最も多く、通所・短期入所介護が56件で続きます。集計対象は負債1,000万円以上の倒産に限られ、休廃業・解散は含みません。

需要が増えても倒産が増え続けるのは、複数のコスト増要因が重なっているため

倒産が増え続けるのは、単一の原因ではなく複数のコスト増が同時に起きているためです。需要が増えても、単価を上げて調整する余地がありません。

本記事が扱う介護施設は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、デイサービスなど建物を構えて運営するサービスで、訪問系サービスは含みません。

人件費、光熱費、食材費はいずれも上昇を続けており、需要増と倒産増が併存しています。

介護報酬は国が定める公定価格――経営の自由度を左右する仕組み

介護報酬は国が定める公定価格であり、事業者が独自に料金を設定できません。価格設定権がないため、介護施設の利益率・収益構造は根本から決まったものになってしまっています。

他業種のようにコスト増を価格へ転嫁できないため、収支の改善は費用面の工夫か加算の取得に限られます。

収支差率マイナス1.0%―介護サービス全体平均(プラス2.4%)を大きく下回る特養の実態

厚生労働省の令和5年度介護事業経営実態調査によると、介護老人福祉施設の収支差率は令和4年度決算でマイナス1.0%でした。同じ調査の結果の概要が示す全サービス平均は2.4%です。

どちらもコロナ関連補助金と物価高騰対策関連補助金を含まない税引前の数値です。赤字となったのは施設系の3類型です。介護老人保健施設と地域密着型介護老人福祉施設も、いずれもマイナス1.1%でした。

収支差率は収入に対する利益の割合、つまり利益率にあたります。特養は老健や地域密着型特養とともに、この利益率が最も低い施設系の一角です。新規参入でも既存施設の見直しでも、この水準が基準となります。

介護施設が赤字に陥る4つの原因は人件費・稼働率・介護報酬改定・物価高

介護施設の経営が赤字に陥る原因は、人件費率の上昇、稼働率の低下、介護報酬改定、物価高・光熱費高騰の4つです。これらが重なることで、影響大きくなっていきます。

原因①:人件費率の高さと採用競争によるコスト上昇

原因の1つ目は「人件費」です。介護事業は労働集約型であり、経営上の費用の大半を人件費が占めます。前掲の実態調査では、特養の給与費が収入の65.2%を占め、令和3年度決算の64.3%から0.9ポイント上昇しました。

介護職の採用は他業種との競合が激しく、賃金水準を上げなければ人が集まりません。人件費を削れば人材が流出し、単純に費用を削減するのでは解決しません。

原因②:収益に直結する稼働率の低迷

2つ目の原因は稼働率です。稼働率が下がると収益は直接的に低下し、経営は短期間で苦しくなります。空床が出ても、職員の配置と施設の維持費は変わらないためです。 定員に対する利用者数が数%下がるだけで、収支は容易に赤字へ転じます。

原因③:3年ごとの介護報酬改定への対応コスト

3つ目の原因は介護報酬改定への対応です。介護報酬は定期的に改定され、直近は令和3年度と令和6年度に実施されました。 改定の度に人員配置や加算要件の見直しが必要となり、対応が遅れた施設ほど経営は苦しくなります。

原因④:物価高・光熱費上昇による収益圧迫

原因の4つ目は物価高です。食材費や燃料費が上がっても、公定価格で運営する介護施設は利用料に転嫁できません。 コスト増がそのまま収支に影響する点は、介護施設固有の弱さです。

経営が危ない施設に共通する、倒産前に現れる5つの兆候

経営が悪化した施設には、倒産前に共通の兆候が現れます。次の自己診断で当てはまるものがないか確認してください。

【自己診断】経営危機の兆候5つ、まず振り返りたいポイント

自己診断の項目は次の5つで、該当する項目が多いほど注意が必要です。

  1. 職員の離職率が急に高くなった
  2. 稼働率が例年の水準を下回る月が続いている
  3. 地域での評判が悪化している、または見学者が減った
  4. 資金繰りが常に厳しく、支払いが遅延しがちである
  5. 施設長や管理職が頻繁に交代する

1つ当てはまるだけでは、直ちに危機に陥るとは限りません。①か④が続く場合は、6カ月先までの資金繰り予定表を作り、顧問税理士と月次で相談・確認してください。資金が不足する見通しになった時点で、取引金融機関に返済条件の見直しを相談してください。

兆候に気づいたら放置せず、早めの対応が鍵

兆候に気づいてから動くまでの速さが、経営を立て直せるかどうかを左右します。資金繰りが逼迫してからでは、融資も採用も条件が悪化してしまいます。

まだ体力があるうちであれば、施設は人材の定着や加算の要件整備のように、効果が出るまで時間のかかる施策にも手をつけられます。資金が尽きてからでは、実行できるのは支出を止めることだけになってしまいます。

【黒字化への最優先課題】人材の確保と定着率の改善策

経営改善の打ち手は複数ありますが、着手すべき順序は決まっています。最優先は人材確保と定着です。

空床があっても、受け入れる職員がいなければ稼働率は上げられません。離職が続けば、採用を増やしても人員配置基準を満たせないためです。加算の取得も、要件を満たし続ける人員が定着していなければ維持できません。

多様な採用チャネルと魅力的な求人情報で採用力の強化を図る

定着への対応と並行して、人手不足への対処も必要です。ハローワーク以外に、民間の求人媒体、人材紹介、職員からの紹介、SNSでの発信を組み合わせてください。

求人情報には、配置人数、教育体制、有給休暇の取得実績といった、求職者が実際に知りたい情報を具体的に記載してください。

面接では、施設が求める人物像と働き方を率直に伝えてください。入職後の認識のずれが、早期離職の主な原因となるためです。

定着率の向上――離職を防ぎ、職員が長く働ける職場をつくる

定着率の改善は、人材確保の中では採用より優先度の高い課題です。採用した人数と同じだけ辞めてしまうのであれば、採用コストだけが支出として積み上がります。 取り組めることとしては、4つに整理できます。

  1. 評価制度とキャリアパスを整備し、昇給と昇格の基準を明示する
  2. 休暇を取得しやすい体制をつくり、残業時間を減らす
  3. ICTを導入して記録や申し送りの負担を減らす
  4. 職員同士が相談しやすい場を定期的に設ける

いずれも即効性はありません。ただし離職率が下がれば採用費と教育費が同時に減り、収支への効果は大きくなります。

施設長・管理者の育成が経営を左右する

施設長・管理者を育成できるかは、経営を大きく左右します。現場の実務能力とマネジメント能力は別物で、優秀な介護職がそのまま優秀な管理者になるとは限りません。

研修の機会を確保し、判断できる範囲を明確にして任せてください。権限を把握できていない管理者は、現場の問題を経営へ繋ぐ役割を果たせません。

育成が進めば、施設長は稼働率と加算取得の両方に自ら手を打てるようになります。経営者が現場の個別判断から離れられるという点でも、育成の効果は大きくなります。

稼働率を高める鍵は地域連携とWeb発信による空床対策

稼働率・空床対策の施策は、地域のケアマネジャーとの関係づくりと、Webでの情報発信の2つがあります。

ケアマネジャーとの信頼関係構築が紹介に繋がる

入居系でも通所系でも、利用者を紹介してもらえるかどうかは、ケアマネジャーとの信頼関係で決まります。ケアマネジャーは入居系サービスだけでなく、デイサービスなど通所系サービスへの窓口でもあります。施設の類型を問わず、稼働率・空床対策の要です。

空床の情報を定期的に届け、問い合わせには素早く回答してください。紹介を受けた利用者のその後の状況を報告することも、次の紹介に繋がります。

Webサイト・SNSでの情報発信が稼働率向上の鍵になる

利用者本人と家族が自分で施設を探す機会は増えています。WebサイトとSNSでの発信は、稼働率・空床対策として有効です。

投稿すべきものは、設備の写真だけではありません。1日の過ごし方、食事の内容、職員の人数と体制といった、家族が利用の判断材料にする情報を具体的に載せてください。逆に更新が止まった施設のサイトやSNSを見た家族は、施設の運営に不安を持ちます。

介護報酬改定を乗り越えるための加算取得と正しい活用法

介護報酬改定・加算への対応では、改定の度に要件を点検し、取得できる加算を取り続けてください。改定は経営を大きく左右します。

介護職員等処遇改善加算は使途が賃金改善に限定される加算

介護報酬改定・加算の中でも、処遇改善加算は扱いに注意が必要です。厚生労働省の通知は、算定される額に相当する職員の賃金の改善を「実施しなければならない」項目としてと定めています。取得した分の額を自由に使える加算ではありません。

令和6年6月からは、従来の3つの加算が新加算Ⅰから新加算Ⅳまでの4区分に一本化されました。上位の区分ほど要件は厳しくなります。

それでも取得すべき理由は、加算を取らない施設との賃金差がそのまま採用力の差になるためです。処遇改善加算そのものは収支を改善せず、効果は職員の賃上げによって離職が実際に減った場合に初めて表れるもので、採用費と教育費の減少として遅れて効果が出ます。

個別機能訓練加算やLIFE関連加算など、自施設に合う加算を見つける

介護報酬改定・加算の点検では、処遇改善加算以外に取得できるものも確認し、自施設の強みと重なる加算を選んでください。

代表的なものが個別機能訓練加算です。算定要件は施設の類型と体制で異なるため、告示と通知で確認してください。

科学的介護推進体制加算のように、LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出を要件とする加算も増えました。記録をデジタル化していても、必要な項目をそのまま出力できるとは限らないため、導入済みソフトのLIFE連携対応を先に確認してください。

生産性を高めコストを減らす方法――ICT導入と人件費・仕入コストの見直し

生産性の向上とコスト管理には、ICT導入、人件費、仕入コストの3方向があります。人件費率のコントロールは、人員配置とシフトの見直しに含まれます。 食材費と光熱費も利用料に転嫁できません。給食委託の単価と献立の見直し、共同購入、契約プランの比較で単価を下げるほかありません。

記録・請求ソフトと見守りセンサーの導入が業務負担を軽減する

記録と請求の作業は、ICT・介護ソフトの導入で大きく減らせます。転記の作業がなくなれば、その分の時間を介護にあてられます。 見守りセンサーは夜間の巡回負担を減らし、インカムは連絡のための移動をなくします。導入は現場が使いこなせる範囲から始めてください。全機能を一度に入れると、操作の習得自体が負担になります。

人員配置とシフト管理の見直しで人件費率を適正化する

人件費率の適正化は、給与の引き下げだけでは実現できません。人員配置とシフトの組み方を見直し、サービスの質を保ったまま総労働時間を減らしてください。時間帯ごとの業務量を洗い出すと、過剰な配置と人手不足が同じ施設内で同時に起きている時間帯が見つかります。

目標とすべき人件費率は施設の類型で異なります。近い指標では、前掲の実態調査の給与費割合が特養で65.2%でした。自施設の給与費割合をこの数値と比べ、過去の推移と併せて管理してください。

資金繰りの鍵は運転資金の確保と公的補助金の活用

資金繰りの安定は、入金サイクルを踏まえた運転資金の確保と、補助金の活用によって実現できます。

介護報酬は請求の翌月に入金、運転資金は数カ月分を確保する

介護報酬は、請求した月の翌月に入金されます。この入金サイクルが資金繰りの前提となります。東京都国民健康保険団体連合会の令和8年度支払日では、4月請求分の支払日は5月25日です。

支払日は国保連ごとに異なり、請求に不備があれば返戻となって入金は更に遅れます。 サービス提供から入金までの期間を自施設の実績から算出し、その期間を賄える運転資金を確保してください。

地域医療介護総合確保基金など、ICT・改修に使える補助金

設備投資と人材育成には補助金・助成金を使えます。全国共通の枠組みが厚生労働省の地域医療介護総合確保基金で、都道府県が計画を立てて配分します。

対象となる事業は、都道府県が立てる計画によって決まります。市区町村が独自の補助を設けている場合もあります。

制度の内容と募集時期は毎年変わります。所在地を管轄する都道府県と市区町村の窓口で、当該年度の対象経費と公募要領を確認してください。

まとめ

本記事では、介護施設経営が赤字に陥る構造的な原因と黒字に向けて着手すべき優先順位について解説しました。

赤字を防ぐためには施設のキャッシュフローを改善することも必要になります。 そこでおすすめなのはカイポケ早期入金です。手数料0.96%~、最短3か月と短期間での利用が可能で、国保連からの入金を約1.5か月前倒しします。審査も決算書や事業計画書は原則不要であり借入にならず、手軽にご活用いただける手段として選ばれています。 安定した事業所運営のためにぜひご検討ください。

※掲載内容はすべて記事公開時点のものです。

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