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介護事業の運転資金はいくら必要?融資の受け方と資金調達方法を解説

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介護事業の運転資金はいくら必要?融資の受け方と資金調達方法を解説

「介護事業を開業したいけれど、自己資金だけで運転資金が足りるか不安」「訪問介護やデイサービスを運営しているが、資金繰りが厳しくて先の見通しが立たない」という悩みを抱えていませんか。介護事業は、他業種と比べて運転資金が不足しやすい特有の仕組みを抱えています。

この記事では、介護事業に運転資金不足が起きやすい背景から、開業時に用意すべき運転資金の目安を解説します。加えて、融資先ごとの特徴、審査を通すためのポイント、融資以外の資金調達方法まで詳しく紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

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介護事業の運転資金は融資に頼るケースが多い背景

介護事業は、他業種と比べて運転資金が不足しやすい業界です。ここでは、その代表的な2つの理由について解説します。自社の状況と照らし合わせながら確認しましょう。

他業種より運転資金が不足しやすい

介護事業の収入源となる介護報酬は、利用者にサービスを提供した月の翌々月末に、国民健康保険団体連合会から入金される仕組みです。つまり、サービス提供から実際に入金されるまで、約2ヶ月ものタイムラグが発生します。

この間も人件費や家賃、水道光熱費といった固定費の支払いは待ってくれません。さらに、請求内容に書類の不備や記載ミスがあると返戻となり、再請求が必要になるため入金がさらに遅れたり、想定より少ない金額しか入金されなかったりするケースもあります。

とくに開業後はしばらく収入を得られない仕組みのため、他業種以上に手元資金を厚くしておく必要があります。

開業直後は利用者数が想定通り伸びない

介護事業を開業した直後は、地域での認知度が低く、ケアマネジャーからの紹介も少ないため、利用者数が計画通りに伸びないケースが少なくありません。稼働率が低い状態が続く一方、スタッフの人件費や事務所の家賃、車両維持費といった固定費は利用者数にかかわらず発生し続けます。

開業から数ヶ月〜半年程度は、想定していた稼働率に届かず、計画よりも早く運転資金が目減りしてしまうケースも珍しくありません。開業前の事業計画では、利用者数の立ち上がりを保守的に見積もりましょう。

開業時は運転資金の3~6ヶ月分を用意しよう

介護事業を開業する際は、固定費の3〜6ヶ月分を運転資金として用意しましょう。前述のとおり、介護報酬の入金には約2ヶ月のタイムラグがあり、さらに開業直後は稼働率が低い状態が続きやすいためです。

3〜6ヶ月という幅は、業態によって資金繰りのリスクが異なる点を反映したためです。訪問介護のように少ない初期投資で始められ、稼働率も比較的早く安定しやすい業態であれば3ヶ月分程度が目安になります。一方、デイサービスのように施設や設備への投資が大きく、利用者数の立ち上がりにも時間がかかりやすい業態では、6ヶ月分程度を見込んでおくと安心です。

なお、内装工事や設備購入、車両購入といった開業時にかかる初期費用(設備資金)は、運転資金とは別枠で確保しておきましょう。運転資金と設備資金を混同すると、資金計画そのものが崩れてしまう可能性があります。

融資で運転資金を調達する方法

介護事業の運転資金を調達する主な方法が融資です。ここでは、代表的な3つの融資先について、それぞれの特徴を解説します。

  • 日本政策金融公庫
  • 福祉医療機構(WAM)
  • 銀行・信用金庫

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫には、介護事業者が利用しやすい制度が複数あります。代表的なのが「新規開業・スタートアップ支援資金」です。これは2024年3月に廃止された新創業融資制度が整理・統合され、2025年3月に現在の名称になった制度で、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。自己資金要件が撤廃されているため、自己資金が少ない場合でも申し込みやすい制度になっています。

もう一つが、介護サービス事業なども対象となる「ソーシャルビジネス支援資金」です。設備投資や運転資金に利用できます。いずれも民間金融機関に比べて低金利で借りやすい傾向があります。

参照:日本政策金融公庫|新規開業・スタートアップ支援資金(再挑戦支援関連)
参照:日本政策金融公庫|ソーシャルビジネス支援資金の概要

福祉医療機構(WAM)

福祉医療機構(WAM)は、国の福祉医療政策を推進するため「福祉医療貸付制度」を運営する独立行政法人です。制度は「福祉貸付」と「医療貸付」に分かれ、対象施設が異なります。

長期・固定・低利で、金利は全期間固定型と10年ごとの見直し型から選べます。固定でも1%台の低金利な点が魅力です。ただし施設整備資金が中心で、運転資金向けの制度ではない点に注意しましょう。

銀行・信用金庫

銀行や信用金庫といった民間の金融機関からの融資は、資金調達方法として一般的といえます。信用保証協会の保証をつけると、実績の浅い介護事業者でも借り入れしやすい点が特徴です。

公的機関の融資に比べて審査基準や金利は金融機関ごとに差があります。地域の信用金庫は地域密着型で相談しやすいメリットがある一方、審査にかかる期間は公庫よりも長引く傾向です。すでに取引実績のある金融機関があれば、まずはそこに相談してみるとスムーズに審査が進む可能性があります。

【比較表】介護事業所はどこに融資を依頼すべきか

それぞれの融資先には、対象事業者や金利、審査スピードなどに違いがあります。以下の比較表を参考に、自社の状況に合った融資先を選びましょう。

日本政策金融公庫 福祉医療機構(WAM) 銀行・信用金庫
対象事業者 開業予定~運営中の介護事業者 社会福祉法人・介護事業者(施設整備が中心) 幅広い事業者(信用保証協会の保証利用可)
金利 比較的低め 低め(施設整備資金向け) 金融機関により差が大きい
審査スピード 2~3週間程度 2~3ヶ月程度 金融機関・案件により異なるが比較的長い
担保・保証人 制度によって不要な場合あり 案件により必要 信用保証協会の保証で対応可能な場合あり
運転資金としての使いやすさ 高い 低い(施設整備向けが中心) 中程度(保証協会付きなら利用しやすい)

運転資金の調達を急ぐ場合は、まず日本政策金融公庫への相談から始めるのが現実的です。

介護事業の融資を通すためのポイント5選

融資審査をスムーズに通すためには、いくつかの押さえておきたいポイントがあります。ここでは代表的な5つを紹介します。

  • 事業所計画に説得力がある
  • 自己資金を用意する
  • 人材を確保している
  • 担保の用意や保証人がいる
  • 福祉施設の土地活用に実績がある不動産会社を選ぶ

事業所計画に説得力がある

融資審査では、収支計画や利用者数の見込みに根拠があるかどうかが重視されます。「なんとなく黒字化する」といった曖昧な計画ではなく、地域の高齢者人口や競合事業所の状況、ケアマネジャーとの連携見込みなど、具体的な根拠に基づいた数字を示すことが重要です。

とくに開業時は実績がないため、事業計画書の説得力が審査結果を大きく左右します。専門家に相談しながら、現実的かつ丁寧な計画書を作成しましょう。

自己資金を用意する

融資希望額のおおむね3割程度の自己資金があると、審査で有利に働きやすいとされています。自己資金がまったくない状態では、事業への本気度や返済能力を疑問視される可能性があるためです。 自己資金が多いほど借入額も減り、貸し倒れのリスクの軽減につながります。開業を計画している段階から、コツコツと自己資金を積み立てておきましょう。

人材を確保している

介護事業は人材確保の難しさが事業継続のリスクとして見なされやすい業界です。融資審査でも、スタッフの採用状況や定着率、資格保有者の確保状況などが確認される場合があります。

人手不足のまま開業すると、サービス提供体制が整わず、想定していた利用者数を受け入れられなくなるおそれもあります。採用計画や研修体制についても、事業計画書の中で具体的に示しておくとよいでしょう。

担保の用意や保証人がいる

制度によっては、新規開業・スタートアップ支援資金のように無担保・無保証人で利用できるものもあります。しかし、融資額が大きくなるほど、担保や保証人の有無が審査結果に影響しやすくなります。

自宅や事業用不動産などの担保となる資産がある場合は、あらかじめ整理しておくとスムーズです。担保や保証人を用意できない場合は、信用保証協会の保証付き融資や、無担保枠のある公的融資を優先的に検討するとよいでしょう。

福祉施設の土地活用に実績がある不動産会社を選ぶ

デイサービスのように施設を伴う介護事業を開業する場合、物件選びや土地活用の段階から、福祉施設の実績が豊富な不動産会社に相談する方法も有効です。バリアフリー対応や用途地域の制約など、介護施設特有の物件条件を理解している不動産会社であれば、事業計画に説得力を持たせやすくなります。

また、こうした不動産会社は金融機関とのつながりを持っていることも多く、資金計画や融資相談がスムーズに進むケースもあります。

融資以外のつなぎ資金の確保方法

運転資金の確保は、融資だけが選択肢ではありません。ここでは融資以外の資金調達方法を4つ紹介します。

  • クラウドファンディングの活用
  • 事業パートナーや業務提携によって共同出資する
  • 助成金や補助金を受け取る
  • ファクタリングを利用する

クラウドファンディングの活用

クラウドファンディングは、インターネット上のプラットフォームで事業やプロジェクトの内容を公開する資金調達方法です。共感してくれた不特定多数の支援者から、少額ずつ資金を集められます。

地域密着型の介護事業であれば、開業の想いや地域への貢献をストーリーとして発信することで、地域住民からの支援を集めやすい側面もあります。ただし、目標金額に届かない場合は資金を受け取れないタイプもあるため、事前に制度内容をよく確認しておきましょう。

事業パートナーや業務提携によって共同出資する

他の介護事業者や医療機関、地域の企業などと業務提携を結び、共同で出資し合う方法もあります。単独で資金を負担する場合に比べて、一者あたりの資金負担を抑えられるほか、提携先のノウハウやネットワークを活用できるメリットもあります。

一方、意思決定に複数の関係者が関わるため、事業運営の自由度が下がる可能性がある点は理解しておきましょう。

助成金や補助金を受け取る

国や自治体が実施する助成金・補助金制度の中には、介護事業者が対象になるケースがあります。融資とは異なり、原則として返済不要である点が大きなメリットです。

ただし、多くの制度は後払い方式で、支払った経費の一部が後から支給されるため、当面の運転資金として即座に使えない点には注意が必要です。募集時期や要件が制度ごとに異なるため、自治体や商工会議所の窓口で最新情報を確認しましょう。

ファクタリングを利用する

介護報酬ファクタリングは、国保連への請求後、まだ入金されていない介護報酬債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、入金を待たずに早期資金化できる仕組みです。融資と違って負債にはならず、審査も比較的スピーディーなため、介護報酬の入金までに約2ヶ月かかるという業界特有の資金繰り課題への対策として活用されています。

手数料がかかる点は考慮する必要がありますが、急な資金需要への対応策として選択肢に入れておくとよいでしょう。

介護事業所の運転資金に関する融資についてよくある質問

最後に、介護事業の運転資金や融資に関してよく寄せられる質問にお答えします。

ファクタリングのメリットは何?

ファクタリングの最大のメリットは、融資と違って負債にならない点です。貸借対照表上の借入金が増えないため、財務状況を悪化させずに資金を確保できます。

また、赤字決算や税金の未納があっても利用しやすい傾向があり、審査から入金までのスピードが速い点も特徴です。介護報酬の入金サイクルに合わせて、必要なタイミングで柔軟に活用できる点も評価されています。

融資を受ける際に審査に落ちやすい事業所の特徴は?

審査に落ちやすい事業所には、いくつかの共通点があります。

  • 自己資金が極端に少ない
  • 税金や社会保険料の滞納がある
  • 返済実績に遅延がある
  • 事業計画書の内容が数字の根拠に乏しく甘い

とくに開業前は実績で評価してもらえないため、事業計画書の完成度が結果を大きく左右します。 不安がある場合は、認定支援機関や専門家に事前に相談しておくと安心です。

開業後にも融資は受けられますか?

開業後の追加融資や運転資金の借り増しも可能です。日本政策金融公庫には、すでに事業を運営している事業者向けの「一般貸付」など、開業後の資金需要にも対応できる制度が用意されています。

開業時に借りた融資の返済状況が良好であれば、追加融資の審査でも有利に働きやすくなります。資金繰りが厳しくなってから慌てて相談するのではなく、余裕のあるうちに金融機関との関係を築いておきましょう。

介護事業の運転資金確保は計画的な準備から

介護事業は、介護報酬の入金サイクルや開業直後の稼働率の低さから、他業種以上に運転資金が不足しやすい業界です。だからこそ、開業前の段階で3〜6ヶ月分の運転資金を用意しておきましょう。

融資を受ける場合は、日本政策金融公庫や福祉医療機構、銀行など複数の融資先の特徴を理解した上で、自社に合った資金調達方法の選択が重要になります。融資だけでなく、ファクタリングや補助金といった選択肢も組み合わせながら、計画的に資金繰りの土台を整えていきましょう。

※掲載内容はすべて記事公開時点のものです。

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