介護事業所の経営では、国保連へ請求した介護報酬の入金がサービス提供から約2か月後になるため、人件費や家賃の支払いが負担になりがちです。
ファクタリングで、入金待ちの介護報酬債権を売却して早期に資金化すれば、資金繰りの悩みを解消できる可能性があります。
ただし、ファクタリングは手数料や買取可能額、対応債権の範囲も会社ごとに違うため、比較検討に手間取るケースも少なくありません。
本記事では、カイポケをはじめとした5社を比較しながら、介護ファクタリング会社選びで押さえるべきポイントを解説します。
また、手数料の相場やデメリット、国保連対応の確認方法も紹介します。資金繰りにお悩みの経営者の方は、最後までご覧ください。
介護報酬ファクタリングの手数料は異なる|安さだけで選ぶと損する理由
介護報酬ファクタリングの手数料は一律ではありません。
会社や契約条件によって変わりますが、介護報酬ファクタリングの手数料は0.25%〜1%程度が相場です。請求額100万円で計算すると、差し引かれる手数料は2,500円〜1万円が目安です。
一般的な売掛債権を扱うファクタリングの相場は1〜9%であるため、介護報酬を対象にした場合の手数料の低さが際立ちます。
手数料が低く抑えられる理由は、支払元が国保連である点にあります。 民間企業への売掛金と違って貸し倒れの可能性が小さく、ファクタリング会社が回収不能のリスクを低く見積もれるためです。
ただし、介護報酬ファクタリングでも契約内容によっては、手数料が3%近くになるケースもあります。 ファクタリング会社選びを誤ると、手数料の負担が相場の数倍に膨らむ可能性もあるので注意が必要です。
公式サイトの料率は下限だけを示している場合も多いため、自社の条件で見積もりを取り、実際の料率を確かめてから利用を検討すべきです。
見積もりは1社に絞らず、条件の近い2〜3社へ同時に依頼すると、料率の妥当性を判断しやすくなるでしょう。
また、手数料の安さだけを基準にファクタリング会社を選ぶと、かえってコストが高くなる場合がある点も注意が必要です。
手数料の内訳や入金スケジュールがあいまいなまま契約すると、想定外の費用や入金遅れのトラブルなどが生じかねません。 そのため、ファクタリング会社を選定する際は、手数料率だけでなく、前払い率とのバランスにも目を向ける必要があります。
早期に受け取る金額が大きくなるほど手数料の額も増えるため、必要以上に高い前払い率で契約すると差し引かれる金額も膨らみます。
介護報酬ファクタリングを検討している場合は、料率の低さ・説明の丁寧さ・契約条件の透明さの3点を軸に会社を選定しましょう。
介護報酬ファクタリングには3つのデメリットがある
介護報酬ファクタリングは資金繰りの改善に役立つ一方で、契約前に知っておくべきデメリットも存在します。
- デメリット1|債権の額面満額を受け取れる訳ではない
- デメリット2|銀行融資に比べて手数料が割高になる傾向がある
- デメリット3|長期的な利用は資金繰りを悪化させる可能性がある
いずれもファクタリングの仕組みそのものに由来するものであり、会社選びだけでは解消できません。
とくに長期利用のリスクは、資金計画の立て方次第で影響の大きさが変わります。
デメリットの内容をそれぞれ確認し、自社の資金計画に無理がないかを見極めましょう。
デメリット1|債権の額面満額を受け取れる訳ではない
介護報酬ファクタリングは、ファクタリング会社に手数料を支払います。そのため、利用時には介護報酬の満額分の金額は受け取れません。
ファクタリング手数料は会社によって変動します。 下限を明示しているファクタリング会社も多いため、見積もりなしではどの会社が最も受取額が多くなるのかは判断できません。
手数料のレンジは会社ごとに異なるため、複数社から見積もりを取り、差し引き後の受取額を比較しましょう。
デメリット2|銀行融資に比べて手数料が割高になる傾向がある
介護報酬ファクタリングの手数料は、銀行融資の利息と比べると割高になる傾向があります。
これは、融資の利息が借入期間に応じた年利で計算されるのに対し、ファクタリングの手数料は利用するたびに毎回発生するためです。
毎月債権を売却し続けると、1年間の負担の合計は銀行融資の金利水準を上回る可能性があります。
一方で、ファクタリングの審査から入金までのスピードは、融資にはない強みです。
売掛先が国保連で信用力が高く、経営状況に対する審査のハードルが比較的低いため、会社によっては即日の資金化も可能です。
コストを重視するなら銀行融資、入金までの速さを重視するならファクタリングと、資金が必要な時期から逆算して使い分けましょう。
デメリット3|長期的な利用は資金繰りを悪化させる可能性がある
ファクタリングに依存してしまうと、事業所の資金繰りがさらに悪化する可能性があります。
ファクタリングは、翌月以降に入るはずの介護報酬を前倒しで受け取る資金調達方法です。
利用月の翌月以降も家賃や人件費などは発生するため、一度使い始めると利用を繰り返しやすく、手数料の負担が積み重なっていきます。
また、利用を中止するタイミングで、介護報酬の入金がない月が生じ、キャッシュフローに穴が空いた状態になります。
介護報酬ファクタリングは常用するものではなく、開業直後や急な出費で資金繰りが厳しい時期を乗り切る、一時的な資金調達方法と捉えるべきでしょう。
資金繰りへの悪影響を抑えるためには、利用する期間の上限をあらかじめ決めておくのが重要です。
介護ファクタリングの買取可能額は会社ごとに幅がある|比較のポイント
買取可能額や前払い率(掛け目)には、会社ごとに幅があります。大手ファクタリング会社の前払い率や手数料は、以下のとおりです。
| 会社/サービス名 | 前払い率(掛け目) | 手数料 | 入金までの日数 | 買取可能額の下限/上限 |
|---|---|---|---|---|
| カイポケ早期入金 | リコーリース | LITALICO | 三菱HCキャピタル | ビートレーディング |
| 請求額の80% | 請求額の80%が上限 | 請求額の90% | 通常8割相当 | 要問い合わせ |
| 0.96%~ | 0.25%~ | 0.8%~ | 要問合わせ | 2者間平均10.3%/3者間平均6.8% (2024年度実績) |
| 国保連への伝送請求から約5営業日 | 請求月の15〜17日頃に前払い | 国保連伝送締切日から最短4営業日 | レセプト提出期限日より最短5営業日後 | 最短2時間 |
| 原則なし | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 買取金額無制限(1万円〜7億円の買取実績) |
前払い率や手数料率は審査結果によっても変わる可能性があります。 同じ100万円の請求でも、先に受け取れる資金は会社によって異なり、残りは国保連の入金後に精算されるのが特徴です。
買取可能額を公式サイトに明記していない会社も多いので、希望額での対応可否を問い合わせたうえで、自社ニーズに合う会社と契約しましょう。
介護報酬・福祉ファクタリングの国保連対応は会社ごとに確認が必要
ファクタリングのサービスには、買い取る債権の種類による区分が存在します。 介護報酬債権、診療報酬債権が、障害福祉サービスの給付費、調剤報酬など買取可能な債権は企業によって異なる場合があります。
障害福祉ファクタリングへの対応可否は、地域によって国保連が買い取りを許可してないケースもあるため注意が必要です。
国保連対応をうたうファクタリング会社であっても、自社の介護報酬債権が買取対象に含まれるかは、契約前に確認しておきましょう。
銀行融資と並行して利用することが可能
介護事業所の資金繰りの手段は、ファクタリングだけではありません。
ファクタリングとは、事業者が保有する売掛債権等を、期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービスです。
法的には債権の売買契約にあたり、銀行融資とは性質の異なる資金調達の手段です。
性質が別である以上、二者択一で考える必要はなく、ファクタリング会社の比較と取引銀行への融資相談は並行して進められます。
資金が必要になる時期まで余裕があるなら、融資の審査とファクタリングの見積もりを同時に進め、条件のよい方法を選びましょう。
なお、債権額に比べて受取額が著しく低い契約は、ファクタリングを装った貸付けの恐れがあるため注意が必要です。
ファクタリングと融資の違いや担保・保証人が不要な仕組みは、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ|介護ファクタリングを比較して自社の資金繰りに合う1社を選ぼう
介護報酬ファクタリングは、国保連からの入金を待たずに資金を確保できる有用なサービスです。 一方で、手数料の分だけ受取額は目減りし、長く使い続けると資金繰りを圧迫する側面もあります。
ファクタリング会社を比較する際は、手数料の安さだけでなく、前払い率・買取可能額・対応債権の範囲まで含めて総合的に判断してください。
本記事で取り上げた主要5社の間でも、前払い率は80%相当〜90%まで、入金までの日数は最短2時間〜約5営業日までの差が存在します。
公式サイトの情報と実際の見積もりを突き合わせ、自社の資金繰りの課題に合う1社を選べば、ファクタリングは経営の立て直しに大きく寄与するはずです。
資金繰りに不安を感じている場合は、複数社の条件を比較し、自社に適したサービスを選んで安定した事業所経営につなげていきましょう。
※掲載内容はすべて記事公開時点のものです。